フトモモスクラッチ

 

俺の名前は裕二。

俺は男に生まれたからには女に格闘技で負ける訳にはいかないんだ、くそっ。ただそれだけなのに。

あ、ここはボクシングジム、どうしてもかてない女がいるのでボヤいてしまった。

そいつは夏希という。ツンとすました女だ。今は休憩をしている。

「おい」

声をかける。相変わらず無愛想に夏子はこちらを向いた。

「なに」

「なに。じゃねぇ、今夜ここ借り切ったから試合しようぜ」

「いいよ」

何ともあっさりした女だなと思う。氷のように冷たい性格に違いない。おお寒気がする。

ジムの営業時間が終わって皆が帰り、オーナーに鍵を渡される。

「じゃあ終わって帰る時にセキリュティかけてね、それと」

「それと?」オーナーの声のトーンが下がったので聞き返す。

「ラブホの代わりに使っちゃ駄目だよ」

「しねえっすよ! ガチで試合やるんですよ!」

俺は顔を真っ赤にして言い返した。

皆が帰り、静かになったジムに夏希と俺だけになる。

「さっさとやりましょ」

冷たく夏希は言う。腹が立ったが試合でやり返せば良い。

スパーリングの格好をして(トランクスにシューズ)

夏希を見る。馬鹿にしているのか知らないが正装では無い。ブルマを履いている。それに

何故か夏希が赤いグローブを付けている。赤コーナーだ。

「お前何で赤なんだよ!」

「あら、赤の方が格上って意味じゃない、裕二君、私に一度も勝ってないでしょ?」

そう言われると弱い。俺は吹き上がりそうになる怒りを抑えて青いグローブをつけて

青コーナーに控えた。

そしてお互いに純白のマウスピースを咥える。

「ノックアウトされたらその場で終わりでいい?」

「いいよ!」

「じゃあ、カーン」

夏希は声でゴングの音を模した。

「うおらっ!」

俺は突っ込む。サッと夏希に体ごと避けられた。残り香がする。夏希のシャンプーの香りだろうか。

それに汗のまじった香りがして少しどきっとした。

だがそんな暇は無かった。夏希のフックからジャブの連携が俺の顔面に決まる。

ガシュッと頭が揺れてクラッとする。

「畜生!」

俺は前へひたすら出た。男の強みはパワーだ。一気にねじ伏せてやる。

だがパンパンと小気味良く俺の顔面は殴られ続ける。

「男の子でしょ?」

あの冷酷そうであった夏希がふっと莫迦にするように笑った。

 

 

ズンッ

 

 

ボディを打ち込まれた。強烈な奴を一発。俺はたまらずに前のめりにダウンした。

そして仰向けになる。

天井がグラグラ揺れて見える。

ドサッ

俺の顔の両側に夏希は膝をついた。

「狙ってたんだ、裕二クンの事、徹底的にイジメてあげる」

俺の顔面が太ももに挟まれる。マシュマロのように吸い付くようで張りの良いむちむちした太ももが

俺の顔面を締め上げていく。少し苦しく、屈辱的ではあるのだがそこまで悪い気もしない。俺自身が混乱している。

冷酷で男を蔑んでいると思っていた夏希が俺を狙ってた? いじめる?

「さんざん練習して汗臭いでしょう?」

夏希に言われなくてもわかっている。鼻をツンとつくような汗の匂いがする。

「ほら万力みたいに締め上げるよ」

ギリギリと音はしないが俺の顔が歪むほどに太ももを締め付けてくる。

苦しい、だがこれは幸せな苦しさでは無いのかと思い始める。

何せ俺は彼女がいない歴年齢なので女にここまで構ってもらえているのだ。

いやいかん、俺はこいつを倒さなければ。

だが駄目だろう。試合にはならないだろう。

このむちむちした太ももに顔を挟まれた俺は勃起をしていたからだ。

ほんのり磯の匂いもする。目の前にマ●コがあるのでそこからするんだろう。

これは言わないでおこう。

「ほら、まいったって言いなさい」

太ももが汗ばんでくる、それに伴って汗臭さも増す。

俺がクンカクンカしているのがバレたようで、夏希が嫌な笑みを浮かべる。

夏希の顔は太ももを通して目の前に有る。

「顔に吐いてあげようか」

「なっ、何をだ? ゲロ?」

「莫迦、マウスピース。さっきから咥えてた……時間は短いけど唾液たっぷりのマウスピース」

 

べっ

 

迷うことなく俺の顔に夏希はマウスピースを吐き出した。

唾液の匂いの刺激臭がする。これが夏希の口の中に入っていたかと思うとさらに勃起した。

ああもうどの匂いがどこの匂いなのかわからない。

「えいっ!」

ギリッと傾けるように腿を動かされたとき

どぴゅっ、どぷっ、どぷっ……。

盛大に射精をしてしまった。

夏希には栗の花臭いと騒がれた。こういうものは初めてらしい。

俺は無残に白旗を振ったという事だ。

 

そして

 

太ももに挟まれるのが快感になってしまった。一体どうしてくれる。

夏希にそう言うと「いつでも」と腿を見せながら撫でた。